物流アウトソーシングとは?
物流アウトソーシングとは、物流業務を外部へ委託することです。
物流アウトソーシングを専門のプロフェッショナルに、在庫管理や入出庫作業などの物流業業務を委託することで、「人手不足」や「販売機会の損失」「保管スペースの確保」といった悩みが解決されます。
そして、より高い品質、早いスピードでサービスを提供することが可能になります。
更に物流アウトソーシングを行うことで、これまで忙しくて出来なかった業務にも集中ができ、作業の効率化にも繋がります。
今回は、物流アウトソーシングを利用するメリットやデメリットについて詳しく
ご紹介します。
▼そもそも物流とは?
物流とは│物流の機能や種類、ロジスティクスの違いについてご紹介
物流アウトソーシングとは
物流アウトソーシングとは、物流業務を外部へ委託することです。
3PLと言われる物流アウトソーシングを実施している倉庫会社に委託し、自社の物流機能をプロに委託することで、「人手不足」「出荷件数の拡大」「保管スペースの確保」といった自社では対応しきれなかった悩みを解決することが出来ます。
また、物流アウトソーシングでは、入出庫・在庫管理などの基本的な物流委託はもちろん、アソート・セット作業、返品業務、棚卸、出荷物のおまけやチラシ同封など、付帯作業も含めて物流業務全般を委託することができます。
物流アウトソーシングの役割とは
物流アウトソーシング先では、御社で行っている物流やそれに関する付帯業務・周辺業務を代わって実施されます。
また、最近は物流業務にとどまらず、受注処理やカスタマー対応などもふくめた「フルフィルメントサービス」を実施している物流業者もございます。
物流アウトソーシングではどのようなことが委託できるのか。その役割についてみていきましょう。
入荷・入庫・棚入れ
商品がセンターに納品されることを入荷といいます。
そして、商品・数・置き場を特定し、棚やパレットなどに格納されることを入庫といいます。
こちらではバーコードスキャンを用いることで、正しい数量の入庫、在庫計上ができます。
この際、バーコードがついていない場合は、入庫前に貼り付け作業を物流会社で行います。
物流会社にとって入庫には最大の力をいれることが大切です。ここで間違いが出ると後工程がすべて間違ってしまったり、販売にも悪影響が出るためです。
また、入荷品質が悪いと、入庫作業のリードタイムもかかります。
自社工場や仕入れ先とも連携し、なるべく入荷状況の改善は行うようにしてください。
検品・セット組
要望によっては、検品作業やセット組作業などを請け負う物流会社もございます。
しかし、検品作業は正解の基準値があいまいなものとなります。どこまでの定義で実施するか、認識を合わせることが大切です。
また、入荷前にセット作業を行う場合と、出荷前にセット作業を行うパターンなど様々ございます。
セットの中身の単品に対しても注文を受けている場合は、出荷時にセットできるフローを考える必要があります。
在庫管理
在庫表と在庫の現物数を一致させ続けることが在庫管理です。
入庫・出庫時に商品の加減をバーコードスキャンで記録を取ることがまず大切です。
そして、置き場所を明確にきめ、向きをそろえて保管をすることが、正しい在庫管理をおこなうポイントです。
在庫管理が正しければ、頻繁な棚卸も不要となります。
毎月、棚卸をして調整している現場は、ぜひプロに任せ、在庫管理精度を上げる課題の解決を進めてください。
帳票発行
注文があれば、そのお客様の帳票を発行します。
帳票は、送り状・納品書・伝票・ピッキングリストなどです。
物流会社へ指定のデータを、所定の時間・場所に送ることで、帳票発行業務が進みます。
最近はペーパーレス化が進み、送り状のみの伝票発行を行う企業も増えてきています。
そして、注文データと在庫を照合し、出荷引き当てをかけ、出荷作業の準備を行います。
ピッキング・梱包
ピッキングとは、注文いただいた商品を商品保管エリアから指定数量取ってくることです。
バーコード管理をすることで、人に商品知識がなくとも、スキャンの検証で正しい商品をピッキングすることができます。
在庫管理が正しくできていなかったり、アナログでの管理であれば商品を探すのに時間がかかります。
物流の専門会社であれば、ここのシステム化はしっかりと行われています。
梱包に関しては、お客様の要望にあった梱包形態で実施します。
作業者が多いため、1人1人の認識を合わせるため梱包見本などを用いて実施する物流業者が多いです。
箱なのか、袋なのか。送り状はどの位置に貼るのか。緩衝材はどのように使うのかなど、指定がある場合は導入時に明確に伝えましょう。
またラッピングがあるお客様は、データを分けるなど明確にわかるようにすること。ラッピングは梱包が汚いとよりクレームにもなりますので、委託する場合はレクチャーや梱包形態選びなど慎重に進めることをおすすめします。
出荷
荷物ができあがれば物流会社は輸送会社へ引き渡しを行います。
・輸送会社の手配
・集荷や持込の手配
・出荷後の輸送業者への実績送信
・送り状番号(追跡番号)を顧客に通知
こういったことを実施いたします。
返品処理
万が一、商品が長期不在や受け取り拒否、住所不明で返品された場合は、再入庫作業も物流会社が行われます。
しかし、検品が必要な場合や賞味期限があり再入庫が難しい場合はいったん荷主様に商品を戻す方法もございます。
返品商品は早く在庫に計上しないと滞留となってしまいますので、この認識合わせはとても大切です。
棚卸
決算など事情があり、棚卸を進める必要がある場合も対応されるところが多いです。
その際、入出荷をストップする、出荷は行いながら循環棚卸を行うなど様々な方法がございます。
在庫表と現物数があっているか、1つ1つ確認していく作業です。
自社物流と物流アウトソーシングの違い
責任と管理
自社物流では、企業が物流業務の責任を負い、直接的な管理を行います。一方、物流アウトソーシングでは、物流プロバイダーが物流業務の責任を負い、その管理も担当します。
資源と専門知識
自社物流では、企業が自社の資源や人員を活用して物流業務を運営します。一方、物流アウトソーシングでは、物流プロバイダーが専門的な資源や知識を持っており、効率的な物流運営を提供します。
リスクと柔軟性
自社物流では、企業がリスクを自己負担することになります。物流アウトソーシングでは、リスクの一部が物流プロバイダーに移されることがあります。また、物流アウトソーシングは需要の変動に柔軟に対応することができます。
専念度とコスト
自社物流では、企業は物流業務に自社のリソースを割かなければなりません。一方、物流アウトソーシングでは、企業は物流業務を専門のプロバイダーに委託するため、自社のコアビジネスに集中できます。また、物流アウトソーシングは効率化やコスト削減の機会を提供することがあります。
物流アウトソーシングのメリットとは
ここからは物流アウトソーシングのメリットについて解説させていただきます。
物流をプロに任せることで大きく企業にはメリットが生まれます。
コスト削減
物流アウトソーシングを行うことで、コスト削減が出来ます。
一般的に、物流コストは、「輸送費」「保管費」「荷役費」「梱包費」「人件費」などがございます。
特に「人件費」など自社で対応すると出荷件数にか関わらず必要だった経費を、変動費に変えることができ、特に季節波動などが多い企業様では繁忙期だけ人員を増やす必要もなくなり、メリットが大きくなります。
また、物流にかかるコストを明確にできることも、物流アウトソーシングの1つのメリットです。
例えば、自社物流であれば、どこまでの費用が物流業務にかかっているのか可視化しづらい点がございます。
しかし、アウトソーシングすることで物流経費が明確となりますので、事業計画なども立てやすくなります。
業務効率化
自社で対応出来る最大出荷件数も、アウトソーシングすることにより更に増加させることが可能になります。これは大きな販売拡大に繋がります。
物量に耐えられる人材や物流オペレーションといった環境が整っている委託会社を
選べば、販売施策が上手く行き出荷量が増加しても、お客様をお待たせさせることなく、商品を届けることが出来るのです。
在庫管理も正しく行われるからこそ、販売が増えても適正な在庫を持たせることができ、欠品を防ぎ、販売機会損失のリスクを防ぐこともできます。
更に、今まで物流業務で追われて出来なかった、新商品の開発や、マーケティング、
コンテンツ制作といった物流以外のコア業務に集中して取り組むことが出来ます。
品質向上
更に、物流アウトソーシングをすると品質が向上します。
自社で対応となると、時間や人員が限られた中で、正確かつスピード対応が求められます。取り扱い商品の数や種類が増えるにつれ、対応遅延や出荷ミスなどの問題も発生してしまいます。
しかし、物流のプロに任せることで、ピッキングや、梱包作業を
丁寧かつスピーディーに対応が出来るので、より高品質な状態でお客様へお荷物をお届けすることが出来ます。
もちろん、繁忙期にも対応出来る環境を作ることができます。
これにより、顧客満足度やリピーターにも繋がり、新たな売上向上が見込まれます。
物流アウトソーシングのデメリットとは
ここからは物流アウトソーシングのデメリットについて解説します。メリットの多いアウトソーシングですが、もちろん不利点もございます。
事業を行う上で物流に対し、どこにこだわりを持つか、何を大切にするか、が重要です。
細かい対応や柔軟な対応ができない場合がある
今まで自社物流では対応出来ていたことが、アウトソーシングすることにより出来なくなる場合や、費用がかさむ場合があります。
例えば検品業務です。細やかな商品の知識が必要であったり、ミスした際の責任問題が不明確な業務となり、企業によっては断れらるケースもございます。
また、高度なラッピング、梱包形態など人の教育に時間がかかる業務、メッセージカードへの手書きなど作業者によって品質に差が発生する業務は、安易に受けられる物流会社は少ないと言えます。
物流現場では多くの従業員が働いております。1人が1社の専業としない会社も多いです。
更に、輸送会社の集荷時間に間に合わせることがマストです。
物流にとって一番大切な「正しい在庫管理」「正しい商品をスピードで正しい先へ届ける」を一番に考えると、細やかな作業対応は取捨選択が必要となってまいります。
もちろん、こだわりの対応をどうしても行ってほしいパターンは、細かく要件を物流会社と詰めることで可能な場合もございます。その際は人員も必要となるので、価格がかさむことも念頭に置いた方が良いでしょう。
また物流会社では輸送時間のタイムラインを厳守することが重要です。そのため、出荷作業を優先として動くため、当日の出荷に関係のない依頼はスピード着手ができないことがあります。
その認識はお互いすり合わせ必要です。
物流アウトソーシングを行う時、どこまでこだわりを持つか、何を大切にしたいのか、明確にすることをおすすめいたします。
すべてを委託出来るとは限らない
委託先業者にもよりますが、物流アウトソーシングでは全ての物流業務を委託できるとは限りません。
注文を受けてからの事務処理業務や、細かい商品のセットアップなどはアウトソーシングせずに、自社で対応を行う企業様も多いです。
しかし中には物流周辺業務のアウトソーシングを対応している物流会社もございます。
例えばECの受注処理代行(ネットショップで注文が入り、物流データを生成するまでの事務作業のアウトソーシング)を提供しているケースもあります。
そういったサービスを使いアウトソーシングの活用幅を広げることも、1つの選択肢です。
また、今日、技術の向上が進みRPAなどのロボットを取り入れる企業が増えてきました。
RPAとは事務作業の一連の流れを自動化できるロボットです。企業の作業の効率化・生産性UPアップのために取り入れられており、近年注目されております。
物流にはパソコン業務が多く発生します。そういった業務を自動化することで、自社の人員を削減、大きな効果をもたらします。
アウトソーシングや自社業務の改善手法を上手く使い、注文量に対応できる現場づくりを行いましょう。
物流アウトソーシングの業者選定は簡単ではない
EC事業の拡大により、委託先の業者も増加しています。
自社にあった最適な委託先を見つけることが難しいのがデメリットの一つです。
様々な物流会社がいるため、基本的に複数業者は選定し比較することが大切です。
またヒアリング項目なども多く、一緒に決めていく部分も多いので、何度もお打ち合わせをする必要があります。
物流環境を変えることは、業者任せになるのではなく、自社でも覚悟を持って進めることをおすすめします。
物流アウトソーシングの種類とは
物流アウトソーシングには、4種類のアウトソーシング方法がございます。
第三者物流(3PL)
第三者物流は、物流業務を専門に行う外部の企業に委託する形態です。主な業務には輸送、保管、在庫管理、配送などが含まれます。企業は物流プロバイダーと契約を結び、物流業務の効率化とコスト削減を図ることができます。
第四者物流(4PL)
第四者物流は、物流業務の統合的な管理を専門とする企業です。第四者物流は、物流プロバイダーを統括し、サプライチェーン全体の戦略的な計画と調整を行います。企業は第四者物流に物流戦略の立案やネットワークの最適化などを任せることで、物流プロセスの最適化と競争力の向上を図ることができます。
定額系物流サービス
あらかじめ提供するサービスや価格が決まっているサービスです。
物流倉庫の保管料は、個数×日数で算出され、小規模から始めることが出来るのが特徴です。
ただ、決まったサービス以外の対応は出来ないため、融通はきかないデメリットがあります。
手頃にアウトソーシングを始めたい方、あまり細かい対応にこだわりのない方にはおすすめです。
カスタム系物流サービス
自社の目的に応じて、金額を設定するサービスです。
希望の運用方法に合わせたサービスのカスタマイズが可能となります。
物流も戦略としてとらえ、ビジネスを成長させたい方や、こまやかな要望がある方におすすめです。
カスタムになると、細かく要望や現状のヒアリングが入り、要件定義なども詰めていく必要があります。
導入にも2、3ヶ月かけ慎重に進めることが多いです。
余裕をもって業者を選定することをおすすめします。
物流アウトソーシングの選び方とは
物流アウトソーシングをする際、沢山ある委託先の中から
自社に最適なサービスを選ぶためのポイントをご紹介します。
物流業者の選定基準は様々あります
選定基準は様々な視点があります。自社で取り扱っている商品や、規模によって選定基準が異なってきます。
【物流業者の選定基準(一例)】
・自社の商品が扱うことができるか(取り扱い資格がいる商品、危険物やにおいの強いものは難しい場合あります)
・温度管理が可能か(冷凍、冷蔵、常温など)
・賞味期限管理やロット管理など細かい商品の管理がどこまで可能か
・改善提案をしてくれるか、物流会社自身が改善に取り組んでいるか
・自社にあったEC物流の対応やBtoB物流の対応ができるか
・実績があるか(品質や出荷量、対応クライアント)
・場所や人に余裕があるか
・価格があうか
・営業スタッフの対応
これらはほんの一部となり判断基準はたくさんございます。
コストばかりに目を向けない
コストばかりに目を向けることはおすすめいたしません。
安く業務を受託される業者様もいらっしゃいます。しかしその場合、細かい対応ができなかったり、品質やスピードが低下してしまう場合、1日の対応量に制限が出る場合もあります。
また単純に自社の人件費とのコスト比較では、アウトソーシングが高く見えてしまうことがあります。
単純比較ではなく、採用・人の教育、人の管理、場所の管理、物流のための資材や備品など見えないコストなどを加味することでトータルにメリットを見出せるか検討しましょう。
また、万が一自社で在庫差異の調査対応やクレーム対応など、物流が起因となり業務時間に影響を与えている場合は、その時間削減も1つコストメリットとなります。
自社物流ではやはり成長対応には限界があります。
特にマンパワーの物流環境では、スタッフの疲弊などリスクもかかります。
コストだけでなく、ビジネスを成長させるための物流環境を選ぶことが大切です。
物流課題を明確にして業者を探しましょう
なぜ御社がアウトソーシングしたいか、アウトソーシングをすることで
解決したい課題を明確にしておくべきです。
そのようにすることで、課題解決の提案が明確に物流会社からもらうことができ、選定がしやすくなります。
決め手となる基準や、課題解決の優先順位もあらかじめ決めておくことで
選定で迷った際も、軸をぶらすことなく、どこが良いか選定できます。
自社の課題を把握せずに、物流アウトソーシングを進めてしまうと、業者の選択を誤る可能性もあります。
自社の現状を把握した上で物流会社に問い合わせましょう
自社の物流現状を把握した上で物流会社に問い合わせるとスムーズです。
【事前に把握しておきたい自社の現状】
・出荷件数は月間いくつか
・通常期、繁忙期、閑散期はいつか。それぞれの月間件数はいくつか。
・よく出るケースサイズはどれぐらいか
・必要なスペースは何坪(何平米)か
・絶対に譲れない条件はないか(場所など)
・商品保管に温度帯など指定はあるか
・これからスタートのビジネスの場合は、販売予定数や販売計画
こういった情報が明確にあると、物流会社がお見積もりなど出す際にスムーズにやり取りができます。
また機密保持契約を結び、実際の出荷実績をお渡しすると、より明確な提案をもらうことができます。
委託先に任せすぎると、かえってトラブルを引き起こしてしまいます。
しっかりコミュニケーションの取れる物流会社を選びましょう。
物流委託先の特徴を確認する
物流委託先がどこまでサービスを対応してもらえるか、内容を事前に確認することが大切です。
御社の現状を正直に伝え対応できるかの確認をしましょう。
件数が多すぎると対応できない業者があったり、逆に少なすぎると価格的に良い提案ができない業者もあります。
付帯業務や賞味期限管理など、出来ると思っていたサービスが、契約後にやはり出来ないというトラブルが起きると後処理にも時間や労力がかかります。
商談時に細かく自社の状況をつたえ、両者の認識を合わせることが大切です。
また、見積内容が明確かどうかや、トラブルやイレギュラーが発生した際に、しっかりフォローをしてもらえるかどうかといった、サポート体制の確認も重要です。
必ず委託先の物流現場を見学する
こちらは非常に重要です。
マンションを買うのに、皆様内覧に行かれると思います。物流委託も同じで、自社の大切な商品(お金)を預ける先になりますので、どのような企業かは現実・現場・現物を自身の目で確かめるべきです。
実際の現場にいき、
・品質高く大量の出荷をするためのノウハウや改善が進んでいるか
・働いている人はどんな方か
・場所があるか
・商品はキレイに丁寧に管理されているか
などをチェックしてください。
倉庫まで赴くことが難しい場合は、ZOOMなどでオンライン見学を受けている倉庫もありますので、ぜひ相談をしてみてください。
物流アウトソーシングの課題
コントロールと可視性の欠如
自社の物流プロセスを外部の物流プロバイダーに委託することで、一部のコントロールや可視性が失われる可能性があります。特に、物流プロバイダーが複数のクライアントにサービスを提供している場合、自社の物流活動の状況や進捗を把握することが難しくなることがあります。
リスク管理の困難さ
物流アウトソーシングにより、自社の物流活動が外部の企業に依存することになります。このため、物流プロバイダーのパフォーマンスやリスク管理能力に依存することになります。もし物流プロバイダーがトラブルや遅延を起こした場合、自社のリスクが高まる可能性があります。
データセキュリティとプライバシーの懸念
物流アウトソーシングでは、自社の物流データを外部の企業に提供する必要があります。このため、データセキュリティやプライバシーの保護に関する懸念が生じることがあります。物流プロバイダーとの契約やセキュリティ対策の強化が重要となります。
コミュニケーションと協力の課題
自社と物流プロバイダーとの円滑なコミュニケーションと協力が重要ですが、異なる組織や文化を持つ場合、意思疎通や調整の課題が生じることがあります。特に、契約内容やサービスレベルの変更、トラブルの解決などの際には、適切なコミュニケーションと協力が求められます。
変更管理とフレキシビリティの制約
物流アウトソーシングにより、自社の物流プロセスや需要の変化に対するフレキシビリティが制約される場合があります。物流プロバイダーとの契約やプロセスの変更には時間とリソースが必要となり、迅速な対応や変更への柔軟性が制限される可能性があります。
物流アウトソーシング利用の流れとは
物流アウトソーシングを行うには、業者選定から、契約、準備まで時間がかかります。
業者任せにせず、自社でも主体的に動いていくことが大切です。
委託先業者へ問い合わせとヒアリングに応じる
問い合わせ先の委託先業者様には、明確に御社に課題や現状をお伝えください。
物量や要望によって提案は変わってきます。
自社にあう物流会社に出会うポイントは、この際にしっかり自社から情報を出すことです。
業者任せにせず、現状を自らお伝えしてください。
委託先業者の選定を行う
先述した選び方を参考に、委託先業者を選定してください。
コストだけでなく、どのようなメリットが出るのか、自社の課題を改善できるのか、が選定基準として大切です。
その際必ず委託先業者の現場見学は行ってください。
物流現場はビジネスにとって非常に重要な部分です。物流現場が失敗すると、物を売れても対応できなく、大きなトラブルにもつながりかねません。
お見積り・提案をもらう
お見積りをもらった際に、「何が含まれるか?」「何が含まれないか?」を明確にするようにしてください。
例えば、梱包費用には梱包資材(ケースやプチプチなど)の料金が入っていない場合が多いです。
ここで認識を間違うと、試算内容に差が生まれ、判断を誤ることに繋がります。
しっかり物流会社に説明を求めましょう。
また、料金の提示を求めるだけでなく、物流を委託した際に未来どうしていきたいかのお話もしていくことをお勧めします。
物流会社を切り替えることは難しいです。会社としても大きな選択となります。御社のビジネスの成長計画に物流が対応できるのか。周辺サービスなどの提案は可能か、など、長く付き合える企業を選定できることが大切です。
契約・導入
物流会社は契約後に導入の準備開始となることが基本です。
そのため、契約書のドラフトを早めにもらうなど、導入希望日から余裕をもって準備しましょう。
安全に導入するためには2,3か月の月日を要します。
そこから逆算して業者選定をすることも大切です。
また導入は一番、物流会社任せにしてはいけない部分です。
・ひな型となるデータを送付
・細かいルールの認識合わせ
・梱包の見本の作成と確認
・出荷テストと確認
など、導入成功にむけて物流会社と荷主様、一緒に動くことが重要です。
物流業務開始
アウトソーシング業務開始です。
業務開始当初は、どんなに慣れた物流会社でも多少混乱が起こることがあります。
自社の要望通りに作業されているか、チェックを行うことが大切です。
また、物流会社へのデータ送信時間や、納品方法など、要件定義で約束している内容は必ず守りましょう。
例えば12時にデータ送信の約束をしているのに13時になってしまうと、1時間出荷業務に遅延が起こり、作業が計画通りに進まなくなります。
委託元がルールを守られないと、生産性悪化や品質にも影響が出て、求めるサービスレベルに達さないリスクがあります。
御社のビジネスを加速するために物流は戦略として非常に大切です。いち委託先業者ではなく、そのためパートナーという位置づけで物流会社と二人三脚で進めていくことが大切です。
例えば、セールが行われる際は事前に件数予測や売れ筋商品を共有し、あらかじめ物流現場が準備できるようにするなど、両者の協力によりよき物流環境ができあがっていくのです。
そのため、物流委託がスタートした後も、定期ミーティングを行い、両社の課題を共有し、改善を進めていくことをおすすめします。
物流アウトソーシングの導入手順
導入の前提条件の評価
導入目的と戦略
物流アウトソーシングの導入目的と企業の戦略的な目標を明確化します。
内部の評価と改善
現在の物流プロセスやリソースを評価し、改善の余地があるかどうかを確認します。
ベンダーの選定プロセス
プロバイダーの評価
候補となる物流プロバイダーを特定し、その信頼性、専門知識、経験、サービス範囲、費用などを評価します。
提案の受け入れと交渉
適切なプロバイダーに対して提案を依頼し、契約条件や料金、サービスレベルなどを交渉します。
契約交渉と契約締結
サービス範囲と責任
物流プロバイダーが提供する具体的なサービス範囲と責任を契約書に明記します。
サービスレベル契約 (SLA)
物流プロバイダーとの間で合意されたサービスレベル契約を設定します。
料金と支払条件
物流プロバイダーへの支払いに関する契約条件を合意します。
移行と実施
移行計画の策定
物流プロバイダーと連携して移行計画を作成し、具体的なスケジュールと作業手順を定めます。
ナレッジ転送とトレーニング
自社の物流プロセスやデータを物流プロバイダーに転送し、必要なトレーニングを提供します。
システム統合とデータ移行
物流プロバイダーとのシステム統合を実施し、必要なデータの移行を行います。
パフォーマンスのモニタリングと改善
パフォーマンス指標の設定
物流アウトソーシングにおけるパフォーマンスを測定するための指標を定義します。これには、配送時間、在庫レベル、エラー率、コスト効率などが含まれます。これらの指標は、事前に契約やサービスレベル契約(SLA)で合意された基準と比較して評価されます。
パフォーマンスの監視
物流プロバイダーのパフォーマンスを定期的に監視します。これには、定期的なレポートやミーティングを通じて、パフォーマンス指標のデータやトレンドを確認します。物流プロバイダーから提供される情報や自社のシステムデータを使用して、監視を行います。
問題の特定と分析
監視の結果、パフォーマンスの問題や改善の余地が特定された場合は、それらの問題を詳細に分析します。問題の原因を特定し、その影響を把握するためにデータや情報を収集します。この分析には、物流プロバイダーとの協力や意見交換が含まれる場合があります。
問題解決と改善策の実施
物流アウトソーシングのパフォーマンスの問題に対して適切な解決策や改善策を策定し、実施します。物流プロバイダーとの協力や連携が必要な場合は、適切なコミュニケーションを確保します。改善策には、プロセスの見直し、トレーニングや教育の提供、システムの改善などが含まれる場合があります。
パフォーマンスの評価とフィードバック
改善策の実施後、その効果を評価し、パフォーマンス指標と契約条件との比較を行います。必要に応じて物流プロバイダーとのフィードバックや調整を行い、改善のサイクルを継続します。
物流アウトソーシングの将来展望
テクノロジーの活用
物流業界では、自動化、ロボット技術、人工知能(AI)、ビッグデータ、インターネット・オブ・シングス(IoT)などのテクノロジーがますます活用されると予想されます。これにより、物流プロセスの効率化や可視性の向上、リアルタイムのトラッキングや在庫管理の改善などが実現されます。
グローバルな物流ネットワークの拡大
グローバルなビジネス環境の変化に対応するため、物流アウトソーシングはより広範な地域や国際的な物流ネットワークに拡大する可能性があります。特に、新興国や成長市場における需要の増加や貿易の拡大に伴い、国際物流の重要性が高まっています。
サプライチェーンの可視性と持続可能性の重視
消費者の意識の高まりにより、サプライチェーンの可視性と持続可能性がますます重要視されるようになります。物流アウトソーシングでは、サプライチェーン全体のトレーサビリティや環境への影響を管理するための取り組みが求められます。
モノのインターネット(IoT)とデジタルツインの活用
IoTやデジタルツイン(物理的なモノとデジタルなモデルの結びつき)の進化により、物流アウトソーシングではリアルタイムのデータ収集やモニタリングが可能になります。これにより、在庫管理やトラッキング、予測分析などの効率化が進むと予想されます。
エコフレンドリーな物流の推進
持続可能な社会への移行を促すため、物流アウトソーシングではエネルギー効率の改善や輸送手段の最適化、環境への配慮が重要視されます。
まとめ
今回は、物流アウトソーシングのメリットとデメリットについてご紹介しました。
アウトソーシングすることだけが全てではありません。
自社の物流課題や経営状況、将来的にどうするかといったことを踏まえて、
御社にとって一番ベストな方法を選択してください。
アウトソーシングすることによるメリット・デメリットはもちろんございますが
もし、アウトソーシングすることを少しでも検討している場合は、
早い段階で行うことをおすすめします。
そうすることで、事業の成長がより早く進みます。
関通の物流アウトソーシングサービスでは、お客様の成長や波動に合わせた対応が
出来ますので、アウトソーシングにお悩みの企業様は、ぜひご相談ください!
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▼関通の物流アウトソーシングサービスについて詳しはこちらよりご覧ください。
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